Web集客の専門家、俵谷 龍佑(@tawarayaryusuke)です。
最近、ブログでショートストーリー風(小説風)に記事を書くのが流行っているみたいなので、僕も流れに乗っかってそんなテイストで書いてみたいと思います。
今回は、自由な生き方がしたい、と独立したある青年の話です。(内容は架空です)
「自由な生き方」に憧れて、3年半働いた会社をやめて独立しました。
特に、会社に不自由はなかったが、上司を見てもとても将来は明るいとは思えなかった。
それに、毎朝吐き気のするような人ごみの中、会社に行くあの憂鬱な時間ももう過ごしたくないし、愚痴だらけの会社連中の飲み会ももう飽きた。
平日は、会社と自宅の往復をするだけの日々、土日は何となくおいしいものを食べて夜から何となく旧友と会う。本当に、こんな日々が充実しているのだろうか?
会社勤めをして、2年目の半ばに差し掛かったときにこんな疑問がふつふつと自分の中に沸いてくるようになった。
そして、ある時自宅でテレビを何気なしに見ていたら、「ノマドワーカー」という働き方を特集していた。
それは、場所や時間を問わずに、カフェやシェアオフィスなどを転々としながら、働くスタイルらしい。
もちろん、決まった場所への出勤もないし、うざったい上司や同僚との付き合いもない。
全部、自分で選択できる。
僕は、そんな自由な生き方、働き方に魅力を感じ、ついに3年半で会社をやめた、そして独立をした。
だが、物事はそんなに簡単じゃないということを、当時の僕が知る由もなかった。
会社を退職し、最初の日。とにかく、晴れやかだった。
つい、癖で7時に起きてしまった。しかし慌ててパンをくわえながらスーツに着替える必要がないことが分かると、
僕はなんともいえない開放的な気分になった。
「もう、毎日満員電車に乗って会社に行かなくていいんだ!なんて開放的なんだ!!」
会社を辞めて数ヶ月、僕は前職でやっていたデザインスキルを活かして、デザインの制作の仕事をいくつか受けていた。
そんなある日、久々に大学時代と飲むことになった。
みな20代半ばで働き盛りだから、話題は、やっぱり仕事の話だ。そして、みんな独立した僕に興味が行く。
「どう?会社辞めてやっぱり楽?」
「会社興したら、雇ってよー(笑)」
「いいなぁ、スーツを着なくて仕事をできるなんてうらやましいわ」
そして、僕は優越感に浸りながら、
「まあまあね、出社もしなくてよいし、自由に働けるから本当に楽だよ」
と返した。
ああ、独立したらこんな風に羨ましがられるのか、いや独立って楽しい!僕は心底そう思った。
・・・
そして、独立して半年が過ぎた。
収入はなかなか伸びない。デザインの仕事の受注も横ばいで、未だ月に10万円程度、とてもこのままだと食べれない。
仕方ないから、週の半分はコールセンターでアルバイトをすることにした。
そして、僕は週の半分はコールセンター、半分は個人のデザインの仕事、という状態になった。
「結局、出勤か・・・まあ、でも私服で髪型自由なだけましか・・・」
このあたりから、僕はなんともいえない不安が徐々に自分の中で大きくなっているのを感じた。
そして、また大学時代の同期と飲むことになった。
また、仕事の話。以前なら、僕はとにかく自分に興味を持ってもらいたくて仕方がなかった。
「俺は独立したんだぜ」「自由でいいだろ!」そう自慢したくて仕方がなかったのだ。
ただ、今は違う。
とにかく、自分の今の現状を知られたくなかった。
軌道に乗ってないし、そもそも本当に今の働き方は自由と呼べるのか?前よりも忙しいんじゃないのか?
結局、僕は遠い目でみんなの会話を聞くだけで、ほとんど言葉を発することはなかった。
僕はうっすら気づいていて気づかない振りをしていたのだ。
独立したからといって、「自由な生き方」なんて手に入らないってことに。
「自由な生き方」という幻想にはまっていたのだ。
時間と場所が自由なら、満たされるわけじゃない。
もちろん、生きるためのお金も必要だし、誰かに必要とされたい、生きる喜びを得たい。
そう考えると、ただ自由でいることなんて、難しいことに気づいた。
「自由な生き方」ってなんだろう?
そもそも、なんでデザインの仕事をこんなに必死になってしているのだろう?
「自由な生き方」の先に何を求めているのか?
僕は、そんなことを考えたら、仕事の手が止まってしまった。
—————————————
僕は、フリーランスになって、いよいよ3年目を迎えますが、最初の頃は、この「自由な生き方」にこだわってしまい、思い悩んだ時期があります。
ただ、「自由な生き方」を実践するのは簡単なようで実は難しいんですよね。
物理的に「時間や場所を」自由に生きるってことができても、結局、心が満たされないんですよ。
だから、「自由な生き方」がしたいからという理由だけで独立をしてしまうと、深みにはまってしまって不自由になってしまう。
結局、人間の「人の役に立ちたい、認められたい」という思いからは逃れられない、僕はそう思っています。
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