「コンビニ人間」は、異常な人間をつまはじく現代を皮肉ったという傑作小説です

書評
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Web集客の専門家、俵谷 龍佑(@tawarayaryusuke)です。

最近、よく小説を読むのだけれど、この「コンビニ人間」は面白かったので、ブログで感想を書こうと思います。

▼今日紹介する小説はこちら▼

「芥川賞受賞」でハードルが上がっているから、さぞがっかりするからと思いきや、はるか上を超えてきた。

ラストが意外すぎて…。

30代独身女性のコンビニ店員の何気ない日常なのだが不気味

この小説の一番の見どころは、平穏な日常を描いているようで、全てが狂っていて不気味なところ。

グロいとかそういう話じゃなく、日本社会の悪しき習慣である「同調圧力」が随所に出てくるのです。

例えば、主人公が30代でコンビニの仕事をしていることを友達夫婦に話す場面とか。

「うん。ええとね、私は身体が…」

「そうそう、恵子は身体が弱いんだよね。だからバイトで働いているんだよね」

私を庇うようにミホが言う。私の代わりに言い訳をしてくれたミホに感謝していると、ユカリの旦那さんが、

「え、でも立ち仕事でしょ?身体弱いのに?」

と怪訝な声を出した。

ここは、友達夫婦が、主人公が未だ30代にもなって結婚も正社員として就職もしていない理由を探ろうと訝しんでいるシーン。

これよく見る光景だけれど、こうやって文字にすると本当に不気味、明らかな同調圧力を感じますね・・・。

「なんで自分と同じじゃないの?」と暗に伝えているようなもの。こういう場面が度々出てきます。

マイノリティー(異物)の心情が上手く表現されている

この小説では、世間とズレたものを「異物」と呼んでいます。

異物とは、主人公のことを指しています。

この主人公が多くの人とズレた感覚を持っている描写がたびたびありました。

その中でも特に衝撃的な描写がココ。

例えば、幼稚園のころ、公園で小鳥が死んでいたことがある。どこかで飼われていたと思われる、青い綺麗な小鳥だった。

ぐにゃりと首を曲げて目を閉じている小鳥を囲んで、他の子供たちは泣いていた。

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「どうしようか・・・?」一人の女の子が言うのと同時に、私は素早く小鳥を掌の上に乗せて、ベンチで雑談している母の所へ持って行った。

「どうしたの、恵子?ああ、小鳥さん・・・!どこから飛んできたんだろう・・・かわいそうだね。お墓を作ってあげようか」

私の頭を撫でて優しく言った母に、私は、「これ、食べよう」と言った。

なかなかパンチのある回想シーンですね。

その異質さを隠すために、主人公は「誰かの口調」や「誰かの服装」をまねるようになり、世間の白い冷たい目が自分に向かないように必死に生きています。

本当に生々しいというか、無機質な感じがするというか、何ともいえない感情になりますね。

僕も、ADDという障害を持っていて、時折こういう気持ちになることがあります。

ちょっと共感してしまったよ。

本当の正しさとは何か?を考えさせられる

この小説で一番伝えたいところは、ここなんじゃないかなあと僕は思っています。

この話の中では、世間vs異質な主人公という対立構造がありますが、どちらが正義で悪という話ではなく、両方とも正しいのだと思います。

心の何処かでは人間は、異質なものは排除したいって思っているのでしょう、無意識にどんな人も。

そんな人間が秘めた「内なる狂気」をつきつけられる瞬間が読んでいる最中に度々訪れます。

まとめ

もっと書きたかったのですが、これ以上書くとネタバレしちゃうんで、やめときます!

あとは、実際に本を読んでみてください。

とにかく考えさせられる一作です。

ちなみに、恋愛やヒューマンドラマとかそういうのは一切ないので期待しないようにw

ラストはある意味、衝撃的です。

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俵谷 龍佑

俵谷 龍佑

京都が好きすぎて移住|25歳で独立|未経験でライターに|顧客課題を共に考える|採用・地方創生とBtoB向けSEOが専門領域|気合いではなく仕組みで解決|トラベルライター|ADHDグレーゾーン|自分らしく働ける人を増やす|大衆食堂と町中華|新しい働き方LAB 京都コミュマネ|ハフコミュ 2期|信楽たぬき|