※アイキャッチ画像はChatGPT4で生成
よくビジネス書で耳にする自責思考。
この言葉は昔からあまり好きではなくて、積極的に使わないようにしてました。使い方を間違えると、本質的に問題が解決しなかったり、自己肯定感を下げてしまったりすることにつながるからです。
自責思考を使いこなすのは意外と難しい
自責思考の致命的な欠陥が、使いこなすのが極めて難しいという点。
自己理解ができていて、かつ自己と他者を分けて考えられるようになって、はじめて有効な使い方がてきる思考法だと思っています。
自責思考がなさすぎると責任転嫁になるし、自責思考が行き過ぎると全て自分のせいと思ってしまって潰れてしまいます。
使い方を間違えると自己肯定感を下げる
自責思考は、まず自分に非がないかを振り返り、問題解決を図る考え方です。
しかし、自分を過度に責めてしまうと、本来の個性や良さをも否定する形となり、自己肯定感を下げる恐れがあります。
また、自責思考を自分が考える時に使うのではなく、相手に押し付ける人がいます。
「まずはなんでそういうミスが起こったか自分を見つめ直そう」や、「トラブルを起こしたのだから、反省しろよ」といった感じですね。
これも使い方としては間違いです。自責思考は自分に使うのであって、他人に押し付ける考え方ではないから。
100%自分に非があることは、ほとんどない
まず、何かミスやトラブルが起こった場合、ミスを起こした人が100%悪いということは、よほどのことがない限り存在しません。
具体例を挙げると、aさんが納品書の記載ミスをしたとします。この話だけ聞けば、aさんに非があるとなりますが、ほとんどのケースはそんな簡単ではなく複雑です。
例えば、
- 納品書が記載形式が複雑であり、ミスが起こりやすい業務フローだった
- 納品書の作成期間が極度に短い(依頼されてから10分など)
- 納品書項目の認識が各部署でバラバラで、毎回aさんが認識合わせをしていた
こういった背景を聞くと、「あれ、aさんが悪いのではなく、業務フローにも問題があるのかも」となりますよね。
これを自責思考で進めると、「私に非があります。もっとミスが起きないよう、各所と連携して確認します」で終了し、本質的な問題解決につながりません。
他責思考と自責思考を使い分ける
そもそも順番が逆で、他責思考つまり上司の関係性、業務フロー、スケジュールなどなど、環境に問題はなかったか?から考えることが重要です。
自責思考は、その人のスキル成長には有用かもしれませんが、根本的な問題解決にはあまり効かないと思います。
場合によっては、優秀なメンバーの自己肯定感を下げたり、メンタルを壊したりする可能性さえあります。
まとめ
自責思考という字面がよくないかなと思うので、「自省思考」みたいな言い方が浸透しないかなと願っています。
日本人は、真面目な気質と呼ばれるだけあって、自責思考はそもそも備わっていると思うんですよね。自己理解することや、環境や他者を冷静に客観視する方がよほど重要だと思います。
俵谷 龍佑
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